海外に居住している相続人と印鑑証明書について
皆様お久しぶりです。
弁護士法人心、弁護士の林です。
今回は、外国に居住している方との間で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成するとき、印鑑証明書に代わる書類をどのように用意していくのかという点について解説させていただきます。
1 遺産分割協議書を使用するには、印鑑証明書も添付する必要がある
相続手続きは、「遺産分割協議書」を作成して終わりというわけではなく、銀行口座の解約を行ったり、相続登記を行ったりする必要があります。
そして、銀行口座の解約や相続登記を行う際には、「遺産分割協議書」と一緒に「印鑑証明書」を添付する必要があります。
この「印鑑証明書」は、遺産分割協議書の印影が実印の印影であることを証明する書類であり、この書類を添付することで、印鑑証明書の名義人の意思による押印があったことを推認しています。
2 海外在住者の場合の「印鑑証明書」
「印鑑証明書」は、名義人が居住している地域の市役所や町役場等で発行されますが、海外居住者の場合には、日本国内に居住していないため、この「印鑑証明書」が取得できません。
このような時には、どのようにして銀行口座の解約や相続登記を行っていくのでしょうか。
その方法として、「署名証明書」を発行してもらう事が考えられます。
3 「署名証明書」とは
「署名証明書」とは、「日本に住民登録をしていない海外に在留している方に対し、日本の印鑑証明に代わるものとして日本での手続のために発給されるもので、申請者の署名(及び拇印)が確かに領事の面前でなされたことを証明するものです。」(外務省HPhttps://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/page22_000554.html参照)。
この署名証明書を発行するには、海外在住の相続人が日本国の領事館等に出向き、署名証明書の発行を依頼する必要があります。
そして、実際に領事の面前で、遺産分割協議書に署名を行う必要がありますので、必ず書類にサインをしていない状態で領事館に持っていくようにしましょう。
4 署名証明書の種類
署名証明書には、「形式1(遺産分割協議書と証明書を割印するタイプ)」と「形式2(証明書を発行するのみのタイプ)」があります。
「署名証明書」は遺産分割協議における印鑑証明書に代わる書類ですので、より証明力が高い「形式1」で受け取る必要があるので、注意してください。
以上、本日は、海外に居住している相続人と印鑑証明書について解説していきました。
またどうぞよろしくお願いいたします。