嫡出でない子の相続分について
皆様、お久しぶりです。
弁護士の林です。
今回は、嫡出でない子の相続分についてお話していこうと思います。
1 平成25年の改正前民法の規定
平成25年12月11日より以前の民法では、非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1とする規定が存在していました。
しかし、この規定は、子供にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されないとの理由で、最高裁平成25年9月4日決定により、違憲とされました。
その結果、現在では、非嫡出子の相続分を2分の1とする規定はなくなっており、嫡出でない子も嫡出子と同一の法定相続分を持つとされています。
2 所有者不明土地の問題
他方、最近よく耳にするのが、所有者不明土地の問題です。
この問題は、何世代にも渡って、相続手続きがなされない事で、誰が相続したのかが判別が困難であったり、所有者として登記されている者の所在が分からない事が原因で発生しています。
この問題を解決するために、令和6年4月1日から相続登記が義務化され、相続開始から3年以内に名義変更を行わなければ、10万円以下の過料が課されることとされました。
そのため、今後は何世代にも渡って相続手続きがされていない土地についても遺産分割が行われる可能性が出てきたのです。
3 嫡出でない子の相続との関係
何世代にも渡って相続されていない土地建物について遺産分割を行おうとした場合、平成25年12月5日以前に発生した相続についても解決していく必要がある場合があります。
その際、嫡出でない子の法定相続分は嫡出子の2分の1とされるのか否かが問題となります。
この点について判断した審判例では、平成13年2月に発生した相続についても、最高裁平成25年9月4日決定が指摘するような社会状況があったことを指摘し、嫡出でない子と嫡出子の法定相続分は同一として判断していくとしました(那覇家審令和5年2月28日)。
そのため、今後も平成25年以前の相続手続きを行っていく際に、嫡出でない子の相続分をどのように考えていくのかという点について、この審判例を引用して考えていくという場面が増えるかもしれません。
なお、あくまで一審判例ですので、必ず平成13年2月以降に発生した相続について嫡出でない子の法定相続分が嫡出子と同一であると判断されるわけではないという点については注意が必要です。
4 このように、嫡出でない子との間の相続に関する問題点は複雑化する可能性がありますので、手続きを行う際には必ず弁護士に相談するようにすると良いでしょう。
それでは、また次回お会いしましょう。