お久しぶりです。
弁護士の林です。
皆様はいかが過ごされていますでしょうか。
今回は、銀行が預貯金口座の取引履歴の開示請求に対して拒否することができ
・・・(続きはこちら) お久しぶりです。
弁護士の林です。
皆様はいかが過ごされていますでしょうか。
今回は、銀行が預貯金口座の取引履歴の開示請求に対して拒否することができるのかという点について解説していきたいと思います。
相続の事案では、被相続人の預貯金口座から相続人の一人が多額の出金をしているという場合があります。
その場合、他の相続人としては、預貯金の管理状況を把握するために、預貯金口座の取引履歴を取得する必要があります。
この時、金融機関は、被相続人のプライバシーを侵害するから取引履歴を開示しないという回答をすることが許されるのでしょうか。
平成21年1月22日最高裁判例は結論として、金融機関は原則として取引履歴を開示しなければならないと判断しました。
これは、
① 預金者は、金融機関の事務処理が適切になされていることを確認するために取引履歴の開示を求める事が必要不可欠であること
② 取引履歴の開示の相手方が共同相続人である限り、プライバシーを侵害し、金融機関の守秘義務違反が問われることは無いこと
の2点を理由としているみたいです。
ただし、取引履歴の開示が「開示請求の態様、開示を求める対象ないし範囲等によっては、預金口座の取引履歴の開示請求が権利の濫用に当たり許されない場合がある」と判断されている点に注意が必要です。
例えば、金融機関に対して預貯金口座の取引履歴を30年分開示しろという請求を想定しているものと考えられます。
上記の例との関係でいえば、被相続人の口座から多額の引き出しがあったとしても、被相続人が預貯金通帳を管理できなくなったのが5年前くらいからであるのであれば、その期間に対応した取引履歴を取得するべきであるということです。
必要以上の取引履歴の取得については、金融機関も拒否することができる場合があり得るのかもしれません。
以上より、皆様も、取引履歴の取得を拒否された場合には、諦める前に弁護士に相談してみるのが良いかもしれません。